普通のストレスだと思っていた。でも円形脱毛症になった【小さなストレスがあなたを壊す前に②】

仕事

▶①はこちら

部署は違えど、新人に会社の基本的なことを教えるのは、いつの間にか私の担当になっていた。 

今回の新人は、話したことをちゃんとメモするし、動きもテキパキ。 

メモも取らずに同じことを何度も聞いてきた過去の新人に比べれば、「思ったより悪くないかも」と、最初は思っていた。 

入社して数週間後、電話対応をお願いすることになった。 

まずは社内からの電話に出てみよう、と提案したところで最初の問題が発生。 

1コールで出るように伝えてあったのに、なかなか受話器を取らない。 

隣の席で様子をうかがうと、「えっ、あっ…」と戸惑い、受話器を取ろうとしては手を引っこめる。 

「社内の人だから、気張らなくて大丈夫だよ」と声をかけても、毎回大げさな動作で伸ばす、引っ込めるの繰り返し。 

そのうち、見かねた周りの人が出るようになった。 

やっと電話を取ったと思ったら、ディスプレイに名前が出ているのに、誰からかかってきたのか覚えていない。 

声も小さすぎたり大きすぎたりで、「何メートル先の人に話してるの!?」っていうくらいのボリューム。 

しかも人の名前を全然覚えない。 

数週間隣にいて指導していた私の名前すら覚えていなかったときは、さすがに閉口した。 

…愚痴が止まらない。 

これは、風化していないどころか、現在進行形の話。

熱量が違う。笑 

社外からの電話対応が始まってからは、さらにストレスが増えた。 

名前が表示されていても、毎回聞き返す。 

ただの営業電話に「社長は今日来ますか?」と聞かれて、「来ないって伝えて」と言うと、「社長は今日来ません」とそのまま伝える。 

(これを見ていた私の部署の上司が、「予定はありません」など、自分の言葉で言い換えるように指導してくれた) 

取り次ぐときはなぜか毎回立ち上がって、例の大声で「えっと…〇〇さーん!!」。 

近くで指導している私に返事をするときも、隣にいるのにって思うほど大きな声。 

説明や指示をするときに、「今、いいですか?」と話しかけると「あっ、大丈夫ですよぉ〜♪」と、どうしても上から目線に聞こえるトーンで返事が返ってくる。 

このイントネーションがどうしても気になって、それ自体が私のストレスになっていた(うそ、今も現在進行形)。 

空いた時間に「何かやることありますか?」と聞いてくるのは、正しいと思う。 

でも、無言で私の後ろに立って、私が気づくのを待っているのは違う。 

声をかけるとその独特のトーンで「なにかやることありますかぁ〜♪?」で、またイラッ。

そんな中、彼女を採用した上長が、なんの指導もしていないことにも腹が立った。

ストレスの素はたくさんある。 

トイレに行ったら10分以上戻ってこない。 

人と話すときに目を合わせられない。 

話す時の距離感が近い。 

挙げだしたらきりがない。

救いだったのは、私の部署の上司が完全に味方でいてくれたこと。 

電話対応も来客対応も完璧な人で、見ていて惚れ惚れするほど。 

その上司が、彼女の入社から約1か月後に社長へ直談判してくれた。 

「うちの部署ではもうこれ以上指導できません」と。 

その後、社長が私にも話を聞いてくれて、この一か月のストレスを全部ぶちまけた。 

彼女が私の名前を覚えていなくて、「常務!」って呼んだことすら(笑) 

社長はこう言った。 

「小さなストレスなんだけど、それが少しずつ積もっていくと、すごいストレスになるよな」 

「そこなんです!そこなんですよ!!」って、食い気味に返事した私。 

話を聞いてもらえただけで、ほんとうに身体が軽くなった。 

その後、彼女の席は所属部署に移った。 

今までも同僚や上長には伝えていた。 

だけど社長にぜんぶ話して、「やっと言えた」って思った。 

きっとその瞬間、張りつめていた糸がぷつんと切れたんだと思う。 

そこから、私の体は少しずつ限界を見せ始めた。 

タイトルとURLをコピーしました